景品表示法をわかりやすく解説|ノベルティ製作で気を付けること2022年2月28日 公開  2025年5月13日 更新

景品表示法をわかりやすく解説。ノベルティ製作で気を付けること

日本には「景品表示法」(=景表法)という法律があり、景品やノベルティを配る時の予算設定に決まりがあります。景品表示法をよく理解していないと違反する可能性があり、イベントでせっかく景品を配布しても、金銭的にも社会信用的にも大きな損害を受けてしまう場合があるため、注意が必要です。

この記事では景品表示法とは何か、景品類の種類、景品やノベルティを作成する際に気を付けるポイントをわかりやすく紹介していきます。ぜひ参考にしてくださいね。

景品表示法とは?

景品表示法とは、正式名称「不当景品類及び不当表示防止法」、略して「景表法」とも言われる、消費者庁が所管している日本の法律です。

メーカーや販売店などの事業者が、自らの商品やサービスを過大にPRし、消費者に誤解を招くことを防ぐ法律です。

この規制によって、消費者が商品やサービスを適切に選択できるようになります。

景品表示法は大きく分けて2種類の規制がある

景品表示法は大きく分けて下記2種類の規制があります。

1.過剰な景品の提供を禁止
2.消費者に誤解を招くような表示を禁止

ノベルティ製作で気を付けるのは「過剰な景品の提供を禁止」の規制です。
商品やサービスにつけるノベルティが決まっている限度額内に収まっているか注意する必要があります。

景品表示法の「景品」の定義とは?

景品表示法の「景品」の定義

消費者庁が「景品類」 と定義しているものは、

1.顧客を誘引するための手段として、
2.事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に付随して提供する
3.物品、金銭その他の経済上の利益

となります。商品やサービスの利用者、来店者との取引に不随した金品の提供は、概ね「景品類」とみなされると考えて良いでしょう。

つまり、「お客様を呼び込むためにノベルティを配る」場合は、景品類に該当することがほとんど。“アパレルショップで1,000円以上購入したらエコバッグプレゼントするキャンペーン”や、“商品に抽選券が付いており、当たったら景品がもらえるキャンペーン ”などの場合も、景品表示法の適用範囲です。

景品の限度額は?

実施するキャンペーンによって景品に使える予算の限度額が定められており、「一般懸賞」「共同懸賞」「総付景品」と呼ばれる、取引の特徴・内容の違いによって変動します。

ここでは、それぞれの分類について例を交えながらご紹介。下記のどの分類に該当するかを事前に確認し、予算を超えないように注意しましょう。

共同懸賞

共同懸賞は商品の購入やサービスを利用した人に、地域や事業者が共同して懸賞により景品を提供する方法をいいます。懸賞とは商品・サービスの利用者に対し、くじ等の偶然性、特定行為の優劣(例:パズルやクイズの正誤)等によって景品類を提供することを指し、 商店街やショッピングモールで開催される福引などは共同懸賞に当てはまります。

共同懸賞の景品限度額は下記の通りです。

景品類限度額
最高額 景品総額
取引価額にかかわらず30万円 懸賞に係る売上予定総額の3%

商店街での歳末福引でイメージしてみましょう。

最高額は取引価格に関わらず30万円の設定ができます。このキャンペーンで商店街全体の売上総額の予定が2千万円だとしましょう。そうすると景品総額は懸賞に関わる売上予定総額の3%を超えてはいけないので、景品の総額は60万以内に収めなければなりません。

各項目はこのように分類されます。

■事例の場合の景品上限額
最高額:30万円
景品総額:60万円以内(商店街全体の売上総額の予定2千万円の3%)

景品予算を決める場合には、期間中の商店街全体の売上予定額はいくらなのか予め決めておくことが必要となります。

一般懸賞

一般懸賞とは、前述の「懸賞」のうち事業者等が共同して行う「共同懸賞」以外のものを指す言葉。例えば、商品の購入やサービスを利用した人にクジや抽選券などを配布・抽選に参加させたり、じゃんけん大会で勝った人だけにプレゼントしたりする方法が挙げられます。

一般懸賞の景品の限度額は下記の通りです。

懸賞による取引価額 景品類限度額
最高額 景品総額
5,000円未満 取引価額の20倍 懸賞に係る売上予定総額の2%
5,000円以上 10万円

スーパーで実施するクジ引きでイメージしてみましょう。

3,000円の買い物で1回クジが引けるキャンペーンをするとしたら、景品類の最高額は6万円までの設定が可能です。
景品総額が売上予定の2%を超えてはいけないので、このキャンペーンで1千万円の売上予定だった場合、景品の総額は20万円以内に収めなければいけないのです。

各項目はこのように分類されます。

■事例の場合の景品上限額
懸賞による取引価額:3,000円
景品の最高額:6万円(懸賞による取引価額の20倍)
景品総額:20万円以内(売上予定額1千万円の2%)

キャンペーンの景品予算を決める場合には、何円購入した人を対象にするのか、そのキャンペーンでの売上予定額はいくらなのか予め決めておくことが必要です。

総付景品

総付景品 とは、前述の「懸賞」の方法によらずに提供される景品類のこと。例えば、来店した人や商品を購入した人、サービスを利用した人にもれなく提供する景品・販促品などが挙げられます。
ベタ付け景品とも呼ばれていて、来店特典や商品購入者へ渡すものが一般的です。

総付景品の景品限度額は下記の通りです。

取引価額 景品類の最高額
1,000円未満 200円
1,000円以上 取引価額の10分の2

【ケース1 】
雑貨屋で購入者全員にノベルティを配るケースをイメージしてみましょう。

900円の購入者の場合には予算が200円までのノベルティを配ることができます。
各項目はこのように分類されます。

取引価額:900円の場合(1,000円未満)
景品の最高額:200円

【ケース2】
アパレルショップで購入者全員にノベルティを配るケースをイメージしてみましょう。

2000円の購入者の場合には取引価格の10分の2が最高額になるので、400円のものをノベルティとして配ることができます。
各項目はこのように分類されます。

取引価額:2,000円の場合(1,000円以上)
景品の最高額:400円(取引価額の10分2)

なお、総付景品のうち、下記に該当し、かつ「正常な商習慣に照らして適当と認められるもの 」については規制が適用されません

・見本や宣伝用の物品やサービス
・商品・サービスの販売に必要な物品やサービス
・開店記念や創業記念で配る物品やサービス
・自店または自店と他店で共通して使用できる割引券

「正常な商習慣に照らして適当と認められるもの」という限定がついており、配布の形式や目的によっては規制の対象となる場合もあるため、不安な場合は専門家に確認するとよいでしょう。

【豆知識】オープン懸賞とは?

WEBサイトやSNS上などで企画内容を広く告知し、商品・サービスの購入や来店の必要がなく、ホームページなどから誰でも申し込むことができる懸賞企画は、一般に「オープン懸賞」と呼ばれ、景品表示法の景品類の規制が適用されません。したがって、懸賞企画の景品の金額に上限はありません。

オープン懸賞の例として「WEBサイトからメルマガの無料登録をしたら景品の抽選に応募できる」など、誰でも自由に応募できる企画が挙げられます。

景品表示法に違反した場合どうなる?

景品表示法に違反した場合、

・消費者庁や都道府県から違反している表示の削除や景品の提供停止が命じられる
・誤って表示してしまった情報などを消費者へ知らせる
・再発防止策を考える
・今後違反行為を繰り返さないようにする

などの措置命令が下されます。

措置命令を受けると消費者庁のHPで企業名と事実関係や違法内容が公開されることがあります。 WEB上での情報収集が当たり前の今、企業にとってマイナスイメージの違反内容がWEB上で半永久的に残ってしまうのは大きな痛手となるでしょう。また、措置命令に従わない場合刑事罰が科される場合もあります。

ここでは、景品表示法に違反しないために確認していくことを3ステップでご紹介。ノベルティを作る際には参考にしてくださいね。

まず確認!景品表示法違反を防ぐ3ステップ

景品表示法に違反しないために確認していくことを3ステップでご紹介します。

■ステップ1 ■

実施するキャンペーンは景品表示法の対象かを確認する

■ステップ2■

実施するキャンペーンの内容は一般懸賞、共同懸賞、総付景品のどれに当てはまるか確認する

■ステップ3■

制作したノベルティは景品限度額内になっているか確認する

景品のそれぞれのタイプの違いや詳細な限度額については上記で説明していますので、改めて読み返しながら確認してみましょう。また、自分での判断が不安な場合は法務部や専門家に確認するのがおすすめです。

まとめ

ノベルティ製作のため、必ず知っておきたい景品表示法について解説しました。
企業やお店の販促活動として気軽に作成できるノベルティは有効な手段のひとつです。しっかりと景品表示法の内容を理解し正しく配布を行ないましょう。

参考:景品表示法 | 消費者庁

2022年2月28日 公開 2025年5月13日更新

この記事を書いた人

なべこ

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