扇子とは?構造・素材・知っておきたい基礎知識2023年2月2日 公開 2024年1月24日 更新
涼をとるアイテムとして古くから使用されている扇子。伝統芸能の日本舞踏や能などの小道具としても使われています。
この記事では扇子についての歴史や部位の説明など基本的な情報を解説していきます。
扇子とは?
扇子とは扇(おうぎ)とも呼ばれ、風を起こし涼をとるアイテムです。
複数の骨組みを1点で固定し、風を送る面には和紙や布などが貼られています。90度から180度程度まで開くことができ、折り畳んで持ち運べます。
扇子の由来や歴史
扇子は奈良時代には存在していたとされています。
当初は現在の風を起こす用途とは異なり、薄い木を重ねた「檜扇(ひおうぎ)」と呼ばれていました。主に宮中行事等で作法をメモしたり、女性が他人の視線から顔を隠すために使用されました。
平安時代には和歌をしたためて贈ることもあったとか。その様子は「源氏物語」にも描かれています。
元々は貴族が使用していましたが、室町時代以降になると能や茶道などにも使われるようになりました。
涼を取る道具として庶民の生活に普及したのは、江戸時代後期ごろから。
現代では日本に来た海外からの観光客向けのお土産として人気です。
扇と扇子の違い
元々「扇」とは手にもって風を起こす道具という意味で、その中でも「団扇」や「扇子」など細かく分類されていました。
その後、次第に言葉が変化し「扇」は「団扇」を含めず、折り畳める「扇子」のみを指すようになりました。現代ではどちらでも大きな違いはありません。
扇子の構造と部位名称
扇子は4つの部位の組み合わせで作られているのはご存じでしょうか。各部位には名称が付いていてそれぞれ役割があります。
4つの部位を画像を交え詳しく説明します。
扇面(せんめん)
扇面(せんめん)は風を送るために紙や布を貼り付けた部分です。地紙とも言われています。
素材は紙の扇面がオーソドックスですが、リーズナブルな価格で提供するため布(ポリエステル)を使用した扇子も販売されています。
デザインも伝統的な模様を施したものから、キャラクターを印刷したものまで幅広く、使うシーンに合わせて選ぶことができます。
片面貼りと両面貼りがあり、高級な扇子だと両面貼りをされていることが多いです。
親骨
親骨は扇子を閉じた際に一番外側に来る太い2本の骨です。
素材は竹・木製・プラスチックなど様々です。
仲骨(中骨)
親骨の間に挟まれた骨を仲骨(中骨)と呼びます。仲骨(中骨)の本数が多いほど高級と言われています。
仲骨(中骨)の数は間(けん)と呼ばれます。
※間(けん)の説明はこちら
要(かなめ)
要(かなめ)は扇子の根本付近で留められている部分。
要(かなめ)が外れてしまうと扇子としての機能が壊れてしまうため、もっとも大切な部位です。
「肝心要」という言葉の要の部分は扇子が語源になったとも言われています。
「寸」と「間」|扇子の大きさを表す単位
大きさを表す単位として私たちに馴染みが深いのが「cm」や「mm」などですが、扇子では「寸(すん)」と「間(けん)」で大きさを表します。
寸(すん)
サイズ(高さ)は扇子を閉じた時の骨の高さを寸(すん)という単位で表します。1寸は約3.03cmです。
大きさは男性向けは大きめの7.5寸(約23cm)、女性向けが小さめの6.5寸(約20cm)とされていますが、男女兼用として7寸(約21cm)の大きさが定番で人気です。
また、使用用途によっても大きさが異なり、演舞の舞台で使用する舞扇子は9.5寸(約29cm)と大きなものになります。
間(けん)
間(けん)は仲骨(中骨)の数を表す単位です。仲骨(中骨)が20本あれば20間、30本あれば30間と表し、間(けん)の数は間数(けんすう)と呼ばれます。
一般的によく売られている扇子は20間から35間(けん)が多いです。
間数(けんすう)が多いほど高級品となり、耐久性も高くなります。また、しなやかな風を楽しむことができるのも間数(けんすう)が多い扇子の特長です。
扇子の素材
4つの部位の組み合わせで作られている扇子ですが、素材の違いもあります。
扇面と親骨・仲骨(中骨)の素材の違いについてメリット・デメリットを紹介します。
【扇面の素材】紙
扇子と聞いて一番初めにイメージするのは紙の扇面の人が多いのではないでしょうか。
紙の扇面のメリット・デメリットは下記の通りです。
■メリット
・風量が強い
・扇面の両面に貼り合わせることができるのでどこから見ても様になる
■デメリット
・水に濡れると破れる
【扇面の素材】布
布製の扇子で定番なのがポリエステル素材。ポリエステル素材の扇面のメリット・デメリットは下記の通りです。
■メリット
・水に強い
・カジュアルな服装にも合わせやすい
■デメリット
・風量が弱い
・片面のみの貼り付けになるので裏面が見えるとかっこ悪い
【骨の素材】白竹・黒竹・すす竹
扇子の骨部分の定番といえば竹素材。竹素材のメリット・デメリットは下記の通りです。
■メリット
・しなるので耐久性に優れている
・見た目に高級感がある
・使えば使うほど手に馴染む
■デメリット
・天然素材なので、色の具合が均一ではない
【骨の素材】プラスチック
カジュアルな印象になるプラスチック素材。 プラスチック素材 のメリット・デメリットは下記の通りです。
■メリット
・汚れが簡単にふき取れるのでお手入れが簡単
■デメリット
・安っぽく見える
まとめ
扇子の歴史と扇子の部位について解説しました。
扇子は使うのに敷居が高いイメージがありますが、基本的な情報を知ると身近になりますよね。
歴史ある扇子を日常に取り入れて、和を感じられる風を受けてみてはいかがでしょうか。
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2023年2月2日 公開 2024年1月24日更新