キャンバス(帆布)生地とは?特徴や使用用途・製造方法を解説2020年11月27日 公開 2024年1月24日 更新
キャンバス生地は、利便性の良さからバッグやエプロンなど、幅広い利用用途で用いられています。しかし、素材の特徴、使い方については、あまりよく知らないという方も多いのではないでしょうか?
このコラムではキャンバスの概要や特徴・使用用途などを紹介したうえで、どのような使い方ができるのかについて紹介します。
キャンバス生地(帆布)とは?
まずは、キャンバス生地がどのようなものかイメージしていただけるよう、概要について説明します。
名称の由来や歴史についても簡単に解説しているので、キャンバス生地が古くから活用されてきた素材であることがお分かりいただけると思います。
キャンバスの概要
キャンバス生地とは、従来からよく使用されている布製品の一つです。特にトートバッグやエプロンなどの布材として、市販の製品やホームメイドなどの用途として利用されています。具体的に説明すると、キャンバス生地とは、麻や綿などで作られた平織りの厚手生地のことです。
※平織り…平織りとは、縦糸と横糸を交互に組み合わせた、最もシンプルな布の折り方です。平織りは、伸縮性が弱いものの、とても頑丈であるという特徴があります。
キャンバス生地の名称の由来はギリシャ語の「Canvas(=麻で作られたもの)」です。キャンバス生地が使用されるようになったのは、14世紀ごろにまで遡ります。
また、油絵を使用する画布として「キャンバス」を耳にしますが、画布の素材であるキャンバス生地がそのまま画布を意味します。現在も画布としてキャンバス生地は使用されています。
キャンバスと帆布の違い
キャンバス生地は、日本では「帆布」ともいわれています。キャンバス生地と帆布とは、英語であるか日本語であるかの違いだけなので、同じものと認識して問題ありません。
※厳密にいえば、海外製のものをキャンバス生地、日本製のものを帆布ということがあります。
キャンバス生地が日本で帆布と呼ばれているのは、帆船の「帆」の用途で使用されていたためです。強い風を受けても破れない頑丈な布として、帆布が選ばれていました。帆布は、江戸時代から既に使用されており、とても長い歴史があります。
キャンバス生地の主な生産地は?
世界規模で見ると、キャンバス生地を代表する生産地は中国です。中国では、キャンバスの原料の一つである綿の産出量が多く、また大規模な工場が多数あるため、大量のキャンバス生地を世界各国に輸出しています。
しかしながら、経済規模や情勢などの変化に伴い、近年では少しずつキャンバス生地の生産が他の国にシフトしている傾向が見られます。例えば、ノベルティ用のキャンバス生地の製造として近年存在感を高めているインド・パキスタンなどの南アジアの国々、ベトナムやカンボジアなどの東南アジア諸国の生産量が増えています。
日本国内における最も有名な生産地は、岡山県倉敷市です。
くらしき地域資源ミュージアムWebサイトによると、倉敷市で日本全国の約7割のキャンバス生地(帆布)を製造しています。
とはいえ、日本国内の衣料品の自給率はかなり低く、2017年時点の実績値でわずか2.4%です。キャンバス生地においても、海外製のキャンバス生地(帆布)の方が広く流通しています。
キャンバス生地の素材と特徴
キャンバス生地は、作られる素材や用途によってさまざまな特徴やメリットがあります。特徴を把握することでキャンバス生地の活用法も広がります。この章では、キャンバス生地の素材の特徴や製品におけるメリットについて詳しく紹介します。
素材による特徴の違い
キャンバス生地とは、平織りの厚手生地の総称なので、さまざまな素材から作られています。代表的なものとしては、綿・麻・ポリエステルです。それぞれの特徴やメリットについて解説します。
綿・コットン
綿・コットンは、古くから使用されている伝統的な素材です。とても丈夫で洗いやすいため使い勝手がよく、価格も安いので世界中で多く利用されています。バッグやエプロンなどの普段使いの為のアイテムによく用いられます。
麻 (ジュート)
麻は綿製品と比べて繊維が荒いという特徴があります。厚手であるにもかかわらず風を通しやすいので、エプロンなどの身に付けるものより、画布やバッグなどに使用されます。綿と麻を両方使用した綿麻や、肌触りの良い亜麻を使用したリネンキャンバスなどの素材もあります。
麻はジュートとも呼ばれ、ジュートバッグはカジュアルなファッションアイテムとして注目されています。
ポリエステル
キャンバス生地は、合成繊維であるポリエステルから作られることもあります。ポリエステルキャンバスは、防水性や耐熱性が高く、実用性の高さが魅力です。
製品におけるメリット
続いて、キャンバス生地を素材として作られた製品の魅力について解説します。
厚手で丈夫
キャンバス生地は、厚手でとても丈夫です。縦糸と横糸を交互に重ねで強い圧力を加える平織りによって作られており、さらに糸をより合わせているため、とても頑丈です。
用途によって後加工ができる
キャンバス生地は、以下の後加工ができます。
・糊付け加工…型崩れしにくくなります。バッグやエプロンなど、使用頻度の高いアイテムに用いる際に役立つ加工です。
・パラフィン加工…水を通しにくくする加工法です。外に持ち歩くバッグなどに役立つ加工です。
・ラミネート加工…生地表面のツヤ消しや防水性のアップ、手入れのしやすさのアップなどに役立ちます。エプロンやお弁当ようの小袋などの用途に用いる際、ラミネート加工がされていると安心です。
市販の製品では様々な加工が施されたキャンバス記事のグッズが販売されています。
強度が高く通気性が良い
キャンバス生地は、強度の高さと通気性の良さを両立できるという利点もあります。キャンバス生地で作ったスニーカーは通気性が良いので、特性を上手に活かした製品といえるでしょう。
キャンバス生地の使用用途
強度の高さや防水性などの特徴や利点を活かして、キャンパス生地はさまざまな用途で用いられています。
主な用途を紹介します。
〇日用品のファッション雑貨
・バッグ(トートバッグ・リュックサック・ポーチ)
・ウォレット
・ジャケット
・フード
・スニーカー
〇日用品小物
・エプロン
・ミトン
・ガウン
・手作りマスク
・ランチョンマット
〇ファッションアイテム
・スニーカー
〇その他
・テント
・画布
・帆船
上記のように、キャンバス生地の使用用途は多岐に渡ります。
キャンバス生地の厚みの単位「オンス」「号」
キャンバス生地で作られた製品情報には「オンス」「号」という単位で厚みが表されていることがあります。
オンスや号が持つ意味が分からないという方も多いと思いますので、簡単に紹介します。
オンスとは?
オンス(oz)とは、1平方ヤードあたりの重みを指します。例えば、15.2oz、10.4ozなどのように記載し、数値が大きければ大きいほど、重量が大きいことを意味し、生地も厚くなります。
号とは?
号は、キャンバス生地の縦糸と横糸との密度を表す単位です。1~11までの数値で表され、数値が小さいほど密度が高く重量が多いことを意味します。
オンスと号の違い
オンスが海外製のキャンバス生地によく使用される単位であるのに対して、号は日本製のものに対してよく使用される単位です。
例えば、バッグを例に
・11~9号(10~15オンス)…比較的柔らかく、普段使いのバッグや小型のトートバッグによく利用されます。
・8号・7号(16~18オンス)…家庭用のミシンが入りにくいレベルの厚手の生地で、リュックサックや大型のトートバッグなどに用いられます。
・6号~(19.5オンス~)…とてもしっかりした生地なので、ショルダーバッグなどに用いられます。
一般的なキャンバス生地(帆布)の製造方法
最後に、一般的なキャンバス生地の製造方法について解説します。
製法
まず、4つの製法について紹介します。これら4つの製法の中で、ウォータージェット織機とエアジェット織機が現在主流の製法です。ご紹介するのは代表的な例で、現在は他にも様々な製造方法があります。
シャトル織機
シャトル織機とは、生地を折る機械の内、横糸を通すためのシャトルが付いている織機のことです。手織りの作業をそのまま機械化した原始的なタイプの織機であり、生地を折るのに時間がかかることから一般的にはあまり利用されなくなりました。
シャトル織機の大きな特徴の一つが、セルビッチができることです。セルビッチとは「耳」を意味していて、ほつれ止めの折り返し部分を指します。
ヴィンテージデニムのセルビッチが愛好家の中で人気がありますが、シャトル織機で織られたキャンバス生地にもセルビッチが付いています。
レピア織機
レピア織機とは、レピアといわれる槍を使って横糸を通すタイプの織機のことです。シャトル織機よりも高速でキャンバス生地を折ることができます。
ただし、スピードをあげすぎると生地に柔らかみがなくなるため、あえてスピードを落としていて折る製法がとられていることもあります。
ウォータージェット織機
ウォータージェット織機とは、音速を超える超高圧水を生成・噴射し、材料を切削する加工方法です。緯糸を水の力で飛ばして作る製法です。特にポリエステルの素材を使用する際に、水を使って生地を折るので静電気が起きないという利点があります。
エアジェット織機
エアジェット織機は、空気の力で緯糸を飛ばして作る製法です。高速で生地を折ることができます。
色・柄を出す方法
キャンバス生地は、色や柄をつけることができます。
・先染め
先染めとは、繊維の段階で色をつける製法のことです。先染めの特徴は、色あいに深みが出やすく、色落ちしにくいという点です。
・後染め
後染めは、生地を折った後に色や柄をつける製法のことです。色や柄のデザインが流行に合わせて変更しやすいというメリットがあります。
多くのメーカーから、数々の製法が考案されており、用途や予算に合わせてさまざまなキャンバス生地が作られています。
まとめ
丈夫で防水性や通気性に優れるキャンバス生地は、バッグやスニーカー・エプロンなど幅広い用途で使用されています。使い勝手の良さと実用性を兼ね備えたキャンバス生地のアイテムは、ファッション性をも兼ね備えているので、ノベルティとしてもおすすめです。
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